休日の昼下がり。

用事を済ませると、わたしは帰り足についた。

炎天下。夏だ。

こんな日はお気に入りのタンクトップにミニスカ。

苦し紛れの日焼け防止は麦わら。全然カバーしきれてないけれどね。



熱風の吹く駅のホームで電車を待つ。

歩いている時は平気だったのにこんなところでただ立っているとなんだかくらくらする。

電車の中は空いていた。

そんな車内の効き過ぎたエアコンで薄着を後悔する。いつものこと。

最寄り駅までの十数分、読み掛けの本に目をやる。

今度の冷風に身を強張らせ、ページをめくる。

捲る瞬間、不意に外を見遣ると何かが

ちらちらと建物の隙間から真っ青な空にぽっかりと浮かんでいる。



それは真っ白くて、雲、のようにも見える。

どこかの企業のPRに使われそうな飛行船にも見える。

けれど、わたしの目は手元の本から急に遠くの景色を見たものだからピントが合わない。

霞掛った空の所為もあったかも知れない。

なんなんだろう。

気になるにも、建物の陰になったしまい、はっきりとみることが出来くなっていく。



その空に浮かぶ楕円形状のものが気になって気になっていたたまれなくなって、わたしは電車から降りた。

その影を追う。

まだ見えない。まだまだ見えない。

アスファルトが太陽の熱を照り返す中、その影を探し続けた。



けれども、結局は見つけられなかった。

あれは雲だったのか、飛行船だったのか。

いつもそう。

わたしの欲しいものは追うといつの間にか形を失ってゆく。

ただ、手にしてみたかった。



わたしの心はまぶしい光の中、溶けて砕けてゆく。